癒しの杜

美しい日本を取り戻す 随神の道 子供達に日本の素晴らしさを伝えます。

御師

皆様、御師(おんし)と言うのをご存知でしょうか。
御師の仕事は人々の祈りや願いを伊勢神宮の神様に届けることでした。

また、外宮の神職として別宮高宮(多賀宮)の物忌職を勤めました。

その御師の館が現代まで続いてそのまま残っているところがあります。

御師丸岡宗太夫と言って慶長年間(約400年前)に伊勢山田下中之郷烏帽子世古に移住して明治4年(1872年)に御師制度が廃止されるまで町年寄として自治都市山田の行政の一端を担っていました。

今の丸岡正之さんで18代続いているそうです。(因みに僕が習っている書道の師匠の長年のお友達です)

御師神職であるので御神楽をセッティングしたり、宿の手配、神宮の案内や娯楽まで仕切っていました。

今で言う所の旅行代理店の仕事もしており、江戸時代のお伊勢参りのブームを支えていました。

現在は住んでいませんが、丸岡さんが子供の頃は住んで生活をしておられたそうです。

では、御師(おんし)と言う職業について紹介します。


御師は「御祈祷(いのり)師」あるいは「御師匠」に由来すると言われ、他の有力社寺に置かれたものを「オシ」と呼ぶのに対し、伊勢では「オンシ」と呼ぶのが通例である。ま御師が「大夫」を称するのは、御師となる神職の多くが権禰宜であり、権禰宜になると五位の位=大夫を授かったことに由来する。仕事は現在で言う神宮への旅行業者であり、全国の檀家を廻ってお札や伊勢暦などを配って参宮の勧誘をしたり、神宮を訪れる伊勢講の人々の宿泊や案内の世話をした ということです。

次は貴重な丸岡さんのお話です。
伊勢での御師の職業はお伊勢参りの観光案内から始まり、旅行代理店(ツーリスト)、旅館、料理店、銀行(両替商)、流通(飛脚)、お神楽、御札の発行など様々な事をしていました。

御師のお陰で、伊勢が門前町として発展したともいわれています。

 旅行客は3泊4日の行程できます。15~17名の団体で一回の費用が大体当時のお金で60両ぐらい掛かったそうです。伊勢に来るまでの旅費は別です。
まず、船で来られる場合が多く小俣の宮川辺りで出迎え、(伊勢市内に宮川という一級河川が流れています。)陸路で来るより、船で来た方が便利だったのです。

神宮はもちろん、朝熊、磯部まで観光するそうです。
料理のお品書きが残っており、豪勢な料理が沢山出たみたいです。
お神楽をたてるのは裕福な人々でこれは別途また料金がいるそうです。

その後のお楽しみもあり、『聖もあれば俗もある』という事で、古市という歓楽街があり飲み屋もあれば、風俗のお店もあり、たいそう賑わったそうです。流石に今は風俗のお店は残っていませんが、料理旅館として今も営業されている『麻吉』という店があります。

こういう所は今も昔も変わりませんねぇ~ そりゃあ 楽しいでしょうねぇ~ 江戸時代にお伊勢参りブームが起こったのも頷けます。


それぞれの御師のお家では、顧客名簿が残っていて、丸岡家では7,000人のお客様がいたそうです。その台帳は今も残っているそうです。主に関西(神戸、大阪)長野(伊那谷地方)方面に顧客を持っていたそうです。

丸岡家のお家は150年前に建てられたそうで、門と長屋が一緒になってる門長屋という建築様式は珍しいそうです。

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その後、明治4年に新政府によって御師制度が廃止されました。廃止の理由の建前は神宮を商売に使っていけないと言う事でした。
いきなり廃止が決定されたので、御師の家は急速に没落していき、だから現在まで残っている家が少ないのはこのことによるみたいです。
丸岡家も例外ではなくいきなり失業したので、その後様々な職業をなさったそうです。自転車屋、お医者など当時の看板が残っていました。

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「このお家を管理維持していくには費用も掛かるし大変だから市に文化財として保護してもらったら」という意見に対して、丸岡さんはこう仰っていました。
文化財保護に指定されると、勝手に改築とか補強とかできなくなるし、まあ、いろいろ面倒な事がふえるんや~ 私が生きている間は守っていこうと思いますが、次の世代まで守っていけとは言えませんわ! イザとなったら取り壊して更地したらそれでええことですやん」とさばさばとお答えになりました。


丸岡さんは非常に物腰がやわらかく感じの良い方です。

でも、僕はこういうお家がなくなるのは、もったいない気がしていて何とか後世に残していけないものかと思っております。

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貴重な襖絵や掛け軸も沢山残っています。

伊勢に来られましたら、お立ち寄りください。

三重県まちかど博物館/まちかど博物館詳細/旧御師丸岡宗大夫邸

 

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